人間へのアレルギー反応抑え、「遺伝子組み換え猫」開発へ(CNN.co.jp)

アレルギー体質で泣く泣く猫の飼えない人にとっては朗報なんだが。2007年受け渡し開始とのことだが、間に合うかな?

 米バイオテクノロジーの「Allerca」社(本社・カリフォルニア州ロサンゼルス)は26日、遺伝子組み換え技術で人間のアレルギー反応の原因となる物質の生成を抑制した「猫」の開発に着手したと発表、予約の受け付けを開始した。愛玩動物で遺伝子組み換えが行われるのは世界で初めてとみられる。

はい、初耳で御座います。さて、どのような方法でするのかと言うと、

同社は、「ジーン・サイレンシング(発現抑制)」と呼ばれる技術を用い、このタンパク質の生成を抑制させる。「遺伝子組み換え猫」第1号には、フレンドリーな性格でペットとしては最適とされるブリティッシュ・ショートヘアーが決まっている。

やはりRNAiですな。この方法の現状で御座いますが、
改訂RNAi実験プロトコール(羊土社)第2章マウスの3)によると、内在性の遺伝子抑制は今一となっている。参考文献がちと古いので、up-to-dateな文献を検索してみた。例によってPubMed
Prawitt D, Brixel L, Spangenberg C, Eshkind L, Heck R, Oesch F, Zabel B, Bockamp E.
RNAi knock-down mice: an emerging technology for post-genomic functional genetics.

Cytogenet Genome Res. 2004;105(2-4):412-21.
これによると物によっては効果的っぽいです。但し、サイレンシングだから、完全に無くしきるのを望むのもねえ。
さて、猫アレルギーを抑制し続けることが出来るのかということだが、この分野の進行速度の速さを考慮しても、2007年までには微妙だと言わざるを得ない。そもそもジーンサイレンシングコンストラクトが入った位置によっては時間が経つと共にサイレンシング効果が薄れる場合も考えられるし。そんときは責任とってやれよAllerca。レンチウイルスのサイレンシングベクターを打つとか(別の許可がいるな)。
安全だと思って家族同然に可愛がっている猫が、ある日からアレルゲン産生し始めて、結果離ればなれになってしまうってのは悲劇だぜ。



CNNの原文。
Genetically modified cats for sale(CNN)
Allerca社
http://www.allerca.com/